名古屋大学   堀江 未央

役職 : 特任助教
名前 : 堀江 未央
Name : Mio HORIE
所属 : 高等研究院 人文学研究科・東洋史研究室
研究分野 : 文化人類学、東アジア及び東南アジア大陸部の地域研究

研究概要

グローバルな分業構造や、地域間の経済格差の拡大のなか、世界のあちこちで、より豊かな暮らしを目指した人の移動が活発化しています。そのなかには多くの女性が含まれ、移動ののちに移動先での男性との結婚を伴うケースも増加しつつあります。このような女性の移動と結婚という現象は、より貧しい地域からより豊かな地域へとグローバルかつ連鎖的に進展し、社会に様々なひずみをもたらしています。これに対する従来のアプローチは、マクロな社会構造を解明する手法か、あるいは女性個人の行為主体性にフォーカスする議論が中心でした。私は、人類学的アプローチに基づいて、女性の送り出し社会と受け入れ社会双方での人々の日常的な暮らしに迫ります。女性の生家では女性の流出、女性の嫁ぎ先では女性の流入という出来事を受けて、日常生活や家族のかたちにはどのような変化が見られるのでしょうか。女性本人だけでなく、彼女たちをとりまく生活世界のあり方をフィールドワークに基づいて明らかにすることで、このようなグローバルな経済構造に基づいて起こった人口移動が日常生活に与える影響を明らかにします。
私が研究対象としている中国西南部・ミャンマー国境一帯は、多くの少数民族が暮らす、中国世界と東南アジア世界の交差点にあります。ここでは、女性の移動と結婚という問題は、同時に非漢族女性の漢族世界への移動でもあります。国境を越えて広がりつつある女性の移動の連鎖という現象を軸として、西南中国と東南アジア諸国との現代的関係をひもとくこと、そして、漢族と非漢民族との接触という中国世界の拡張に関わる問題に、歴史的動向を踏まえつつ新たな視点を提供すること、そして、世界各地で進展するグローバルな女性の移動に関する研究に対して、送り出し社会と受け入れ社会双方での綿密な調査を行うことによって貢献したいと考えています。

令和2年4月より、岐阜大学地域科学部(テニュアトラック助教)へ就職されました

<次世代研究者育成プログラムを振り返って>

次世代研究者育成プログラムの支援によって、研究を大幅に推進することができた。なかでも、日本学術振興会の出版助成を落選し、本プログラムの資金で出版した単著が国際開発大来賞を受賞したことに心より感謝している。研究内容によってはいまだ成果としてかたちになっていないものもあるが、それらの基礎を築く上で有意義な時間を使うことができた。個人研究だけでなく、PIとして研究を推進していく上での国際シンポジウムの企画や共同研究の立ち上げ、研究資金の獲得に向けた姿勢などを学ぶ機会も充実しており、研究者として成長することができた。また、本プログラムで実施している助教合宿は、様々なディシプリンの最先端の動向について知る素晴らしいきっかけになり、また共同研究というものを広い目でとらえなおすきっかけになった。分野外の若手研究者と友人として親しく交流できたことは、今後の研究ネットワークの上で大きな財産となると感じている。
本プログラムには頻繁な四半期報の提出が課されているが、それらに対してもスタッフからの手厚いサポートがあったため、大きな負担とはならなかった。むしろ、Research Mapに情報開示する際の整理として役立っていた。
わたしは本プログラムの支援を受けているあいだに妊娠・出産を経験したが、産育休中のサポートも充実しており、肉親からのサポートが得にくい状況下でも研究を継続できたのはひとえに本プログラムのスタッフの力添えによるものである。産育休を取得しても助教としての任期が延長されなかったことは残念であったが、スタッフの方々の温かいサポートの結果、ほぼブランクのない状態で研究を継続することができ、結果として複数の受賞という栄誉を得ることができた。